菜食料理集

全品vegan対応。

お披露目会のメニュー

およそ秋分に始まり、11月の中旬に終わった星のしずくのお隣のリフォーム。

そのお披露目会が12月8日に開かれました。

 

まだ新しいその会場に、リフォームを手伝ってくれた方、支えてくれた方を招待して、ランチを食べたり、スクリーンでリフォームの経過の写真を見たりしながらわいわいする会でした。

 

その日のランチを担当したので、メニューの説明を書いておこうと思います。

 

今回のリフォームは僕もお手伝いをしたり、見学したりできたので、期間中の変化や出来事を生で味わうことができました。

せっかくこの経験があるから、リフォームの歴史を織り込んだコース料理にしよう、という密かな構想がありました。

(実際は人手が足りなかったので、料理と盛り付けの例だけを作り、あとは各自自由にとるビュッフェスタイルにしましたが。)

 

アイディアを練り、参考になりそうな料理動画を見て、計画をノートにメモし、できるところは試作も重ねて...

前菜からデザートまで、5品作ることができました。

 

では前菜から紹介します。

 

1、前菜

上から順に、

 

・人参の輪切り

・アーモンド

・ローストかぼちゃ

・ピーラーで薄切りにした人参

・ビーツの輪切り

・ビーツと玉ねぎとパプリカとレーズンのサラダ(ビーツとバルサミコ酢のマヨネーズ和え)

・クコの実

 

となっています。

人参とローストかぼちゃとビーツは軽く塩をふりました。

 

この前菜は「朝」を表現しています。

朝は始まりの象徴。

「さあ、これからコース料理が始まる」

という期待が高まります。

また、コース料理と同時にリフォームも始まります。

そう、この前菜はリフォーム前の床でもあるのです。

 

リフォームで古い床を剥いだら竈が出てきましたね。

竈、炉、火、

これらはみかさんにとても縁のある存在なのでよく覚えています。

 

ローストかぼちゃの輪、

アーモンドは食感のアクセントとともに、火を囲む石でもあります。

薄切りにした人参の床を剥ぐと、真っ赤なビーツ、サラダ。

一番下のクコの実は竈の火です。

食べ進めると同時にリフォームの歴史も動き出す前菜です。

 

2、和風テリーヌ

      クレソンジェノベーゼ

このテリーヌは全体を海苔と蒸した春菊で包んでいます。

 

下から順に、

 

・黒ゴマ

ひよこ豆のフムス

・白菜

・油揚げにひよこ豆と黒ゴマのフムスを包んだもの

・白菜

 

となっています。

上にアクセントで花椒をふり、

仕上げにひよこ豆を一つのせました。

 

ソースと食べることを想定して、フムスはひよこ豆と練りゴマと軽い塩だけで味付けしています。

クレソンジェノベーゼはクレソンの香りを主役にしたかったので、米油と塩だけのシンプルな味付けにしました。

 

このテリーヌは床工事の過程です。

 

古い床を剥ぎ、掃除もしてまっさらな状態にしたその場所に、お山で焼いた竹炭を撒き、EMスプレーを噴霧しました。

その竹炭が黒ゴマです。

 

また、床下の断熱材として、麻袋に籾殻燻炭を入れたものを使いましたね(一日で92枚の麻袋を縫ったあの日は、リフォームの期間の中でも忘れ難いビックイベントでした)。

その断熱材が油揚げに黒練りゴマのフムスを包んだものです。

白菜が断熱材を固定する板材です。

 

そしてテリーヌの上にのっているひよこ豆がウコッケイの風ちゃんです。

8月22日に首を負傷した風ちゃんはしばらく人間の介護を受けていました。

群れに入れてもらえず、また人間によくなついていたため、工事の間ずっと大工さんや僕たちと一緒にいたり、「ピーヨ!、ピーヨ!」と鳴いたりしていました。

その思い出も料理の中に入っています。

 

3、かぼちゃとおみそのスープ

名前の通りのスープです。

かぼちゃのお味噌汁のポタージュです。

 

これはお披露目会の当日に思いつきと成り行きで作りました。

 

前菜が朝であったのに対して、

これは「昼」に当たるのかな、と思います。

かぼちゃの黄色。

それと、工事の期間中、ずっとみかさんは大工さんにお昼ご飯とおやつを作っていました。

毎日お昼ご飯にお味噌汁があったので、「昼」の象徴にちょうどよかったかもしれません。

 

4、ハンバーグ

      きのこのあんかけ

豆腐、オートミール、しいたけ、ナッツで作ったハンバーグです。

 

3種類のきのこをストーブでじっくり火を入れ、水分をとばしたベースに、醤油で味を調節したあんかけはシンプルだけどうまみたっぷり。

 

図らずもお披露目会で揃ったメンバーはおめでたいと言うか、縁のある組み合わせだったので、ハンバーグは上にしいたけのバラを作って焼きました(これも図らずも、花弁がおよそ12枚)。

 

手前に添えてある鳥型の大根は、成長しながら群れに帰り大人になっていった風ちゃんを表しています。

ここでコース料理における風ちゃんの物語は無事完結します。

 

奥に添えた大根おろしとドライ柚子は味のアクセントであると同時に、雲に沈み行く太陽、つまり「夕方」の象徴でもあります。

食事を進めながら気持ちを来るべき「夜」に誘導します...。

 

5、デザート

      新月ケーキ

新月をイメージして作りました。

床材に新月伐採の板材を使ったからです。

 

人間も、身の回りのものも決して月や宇宙と切り離されてはいません。

満月の時の木と、新月の時の木は違います。

昔も今も、ある人はこのような自然界の法則を意識して、自然と、宇宙と共に生きてきたんだなぁ。

そんなことを思いながら作りました。

 

スポンジ生地が4層、ココナッツのクリームが4層、上のコーティング(グラサージュ)が1層の、計9層のケーキです(ちなみにグルテンフリー、もちろんヴィーガン対応です)。

下半分の白いスポンジ生地と白いクリームは太陽の当たる満月の部分。

上半分のガトーショコラ生地とココナッツココアクリームとグラサージュショコラは新月の部分。

より黒く仕上げるため、グラサージュはブラックココアパウダーを混ぜて作りました。

 

新月は星空が一番輝く時でもあります。

天の川と星くずは柚子の皮の粉、

星座は柚子ジャムです。

だいたい秋分にリフォームを始めたので秋の星座を描きました。

12個  ケーキの上に輪を描いてのっているのはチョコレートでつくった月です。

ホワイトチョコレートとダークチョコレートを2gずつ半球型に入れて固め、それを溶かしたチョコレートでくっつけました。

どちらのチョコレート作りも、カカオバターを溶かしたり、マカデミアナッツをミキサーでバターにしたりするところから始めました。

 

そんなケーキです。

みんなのいる机に、この状態で出し、その場で切り分けました。

 

あとで火を灯した和蝋燭を1本、机の上に立てました。

リフォームが無事に終わり、お披露目会を迎えることができた12月8日は、この場所の1歳のお誕生日でもあると思ったからです。

(本当はケーキと一緒に蝋燭も出すつもりでした。

ケーキの上の満月に対面するように、

蝋燭が太陽になるように置くつもりでしたが、忘れていました(笑)。)

みんなで完成を祝いました。

 

「おめでとう、アナーハタ。」

 

「アナーハタ」はこの場所の名前です。

胸のハートの位置にある愛と調和のチャクラ、アナーハタ・チャクラからとった名前です。

「幸せを開く7つの扉   (ビジネス社)」に、

「アナーハタは゛二つのものが触れることなくして生ぜしめられた音゛を意味します」

とあります。

「夫、婦」「親、子」体癖の「奇数、偶数」たぶん「人間界、自然界」など、この世にたくさんある二極がぶつかり合うことなく、調和して重なりあえるように、

あるいはそのきっかけとなる場所になるように、

という思いが込められています。

(そしてまさに、アナーハタ・チャクラの花弁が12枚なのです。)

※普段は呼びやすく「アナハタ」と言っていますが、正式名称は「アナーハタ」です。

 

最後に。

12月8日のお披露目会ランチはアナーハタの最初のご飯会であると同時に、僕の二十歳の最初のご飯会でもありました。

 

僕はお客さんのように、作った料理を出されることはなかったけど、とっても満ち足りた気持ちになりました。

片付けが終わり、みんなが帰ったあとひとりで散歩をしたのですが、その時の気持ちは今でもよく覚えています。

それから、一段落した後の、ミーティングの会話も。

働くことがどういうことなのか、少しずつわかってきた気がします。

 

今回ランチを作る機会をくれた方、味わってくれた方、食材たち、場所、支えてくれた多くの存在に感謝します。